あと1秒だけ、ボクの隣で。
「ねえ、葉くん」
目の前に立って、可奈子が僕の名前を呼ぶ。
「高校はね、私の夢だったんだ。
友達も作って、恋もして、彼氏も作って。
体育祭も学園祭も修学旅行も友達と過ごす夏休みも面倒なテストも、全部。
皆が当たり前にやってることが私にとっては、羨ましかったんだ。
だから、初めて私を見つけてくれた君と三年間を一緒に過ごしていたかったの」
「…うん」
「彼氏はできなかったけどさ。
友達と恋はできたよ」
「……」
「あれ、無反応?酷いなあ、葉くん。
せっかく私、告白してるのに」
可奈子はおどけたようにそんなことを言って、いつもと何ら変わらない笑顔を浮かべていた。
だから僕も、どう反応するべきか迷った。