あと1秒だけ、ボクの隣で。



きっと今、誰かにこんな姿を見られたら、たった一人の教室で泣きじゃくる変な奴だと思われてしまうんだろう。


だけどそんなことはもうどうでもよかった。


可奈子のおかげで僕はクラスの奴らにすっかり誤解をされて、変な奴だと思われているのだから。


今更もう、そんなことはいいんだ。


ただ、僕には確かに見えるこの女の子と一緒にいたい。


どうして離れなきゃいけないんだ。


どうして、一緒にいられないんだ。


どうして……。



「ありがとう、葉くん」



まだ涙でぐしょぐしょなままの顔に可奈子の手が触れた。



「な、んで…手が、」


「分かんない。けど、やっと触れられた」



可奈子は今まで一度も見せたことのない泣きそうな表情で、僕の頬や耳や鼻筋に触れてきた。



「葉くん、あったかいね」



僕はまた流れそうになる涙を必死に堪えた。


この表情は、この瞬間だけは、絶対に見逃したくない。



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