次期社長と甘キュン!?お試し結婚
ちらちらと専務を窺うが、相変わらず口角をあげて不気味な笑みをたたえていた。
「直人は、なんてプロポーズしたんだい?」
唐突な質問に直人の動きが一瞬だけ止まった。
「三日月さんに聞いたんだが答えてくれなくてね。もちろん、ちゃんと話して彼女も納得してるんだろ? 社長から、会社を継がせる条件として、三日月今日子さんの孫と結婚しろと言われて」
「専務!」
そこで珍しく直人が声を荒げる。専務の目が細められ、その顔は、なんだか蛇のような不気味な印象だ。
「どうした? まさか話してないのか? 婚約して一緒に住んでまでおいて。それとも先に子どもでも作って結婚を迫るつもりか?」
その発言は、とてもではないが、笑って流せるようなものでもない。直人は唇を噛みしめたまま、鋭い視線を送っている。そして、専務の目線が私に向けられたので、背中がぞくりと粟立った。
「三日月さん、この結婚はよく考えた方がいい。私が言うのもなんだが、彼は結婚には向いていない。彼の父親もそうだったからな」
父親? なんのことか分からずに直人に視線をやると、その顔は青ざめていた。私はそんな直人を支えるかのごとく、あれこれ考えるよりも先に、その腕を取り、専務の方に向き直った。
「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫です。全部聞いてますから」
その言葉に目を丸くしたのは専務だけではなく、直人もだった。でも、そちらには気づかないふりをする。私はさらに直人に身を寄せた。
「直人は、なんてプロポーズしたんだい?」
唐突な質問に直人の動きが一瞬だけ止まった。
「三日月さんに聞いたんだが答えてくれなくてね。もちろん、ちゃんと話して彼女も納得してるんだろ? 社長から、会社を継がせる条件として、三日月今日子さんの孫と結婚しろと言われて」
「専務!」
そこで珍しく直人が声を荒げる。専務の目が細められ、その顔は、なんだか蛇のような不気味な印象だ。
「どうした? まさか話してないのか? 婚約して一緒に住んでまでおいて。それとも先に子どもでも作って結婚を迫るつもりか?」
その発言は、とてもではないが、笑って流せるようなものでもない。直人は唇を噛みしめたまま、鋭い視線を送っている。そして、専務の目線が私に向けられたので、背中がぞくりと粟立った。
「三日月さん、この結婚はよく考えた方がいい。私が言うのもなんだが、彼は結婚には向いていない。彼の父親もそうだったからな」
父親? なんのことか分からずに直人に視線をやると、その顔は青ざめていた。私はそんな直人を支えるかのごとく、あれこれ考えるよりも先に、その腕を取り、専務の方に向き直った。
「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫です。全部聞いてますから」
その言葉に目を丸くしたのは専務だけではなく、直人もだった。でも、そちらには気づかないふりをする。私はさらに直人に身を寄せた。