次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「じいさんの見舞いだ。君も一緒に来て欲しい」
「私も?」
話が飛びすぎて状況がよく飲み込めなかった。結婚の話をするために、どうして社長の、彼の祖父のお見舞いに私も付き添わねばならないのか。
その疑問は顔に出ていたのか、宝木さんは大袈裟にため息をついて、そしておもむろに左腕の時計を確認した。
「面会時間も迫っているし、とりあえず三日月今日子の孫として祖父に顔を見せてやって欲しいんだ」
一方的に断って帰ることもできたが、そんな風に言われると私は強く断れなかった。彼とは話し合う必要があるし、それに私も社長のことが、正確には、おばあちゃんが昔恋をした人のことが気になっていたのだ。
助手席に乗って車内のあちこちに視線を飛ばす。微妙な違いはあるものの、映画で登場した車に密かに胸を躍らせていたが、なんとも落ち着かない。私は膝の上で握り拳を作った。
「あの宝木さん」
運転中に申し訳ないが口火を切って、浮わついた心を引き戻す。そもそも彼と今日会うことになったのは、昨日の突然の結婚話について話すためだった。
「結婚の件なんですが……。宝木さんがお祖父様思いなのは、よく分かりました。ですが、だからって好きでもない、ましてやほぼ初対面の相手と結婚するなんて間違ってます、そんなのお祖父様も喜びませんよ」
彼に言われるままにここまで来てしまったが、ようやく私はここで自分から話ができた。言い終えると緊張で心臓が痛くなってくる。それなのに、彼の返事は実にあっさりしたものだった。
「私も?」
話が飛びすぎて状況がよく飲み込めなかった。結婚の話をするために、どうして社長の、彼の祖父のお見舞いに私も付き添わねばならないのか。
その疑問は顔に出ていたのか、宝木さんは大袈裟にため息をついて、そしておもむろに左腕の時計を確認した。
「面会時間も迫っているし、とりあえず三日月今日子の孫として祖父に顔を見せてやって欲しいんだ」
一方的に断って帰ることもできたが、そんな風に言われると私は強く断れなかった。彼とは話し合う必要があるし、それに私も社長のことが、正確には、おばあちゃんが昔恋をした人のことが気になっていたのだ。
助手席に乗って車内のあちこちに視線を飛ばす。微妙な違いはあるものの、映画で登場した車に密かに胸を躍らせていたが、なんとも落ち着かない。私は膝の上で握り拳を作った。
「あの宝木さん」
運転中に申し訳ないが口火を切って、浮わついた心を引き戻す。そもそも彼と今日会うことになったのは、昨日の突然の結婚話について話すためだった。
「結婚の件なんですが……。宝木さんがお祖父様思いなのは、よく分かりました。ですが、だからって好きでもない、ましてやほぼ初対面の相手と結婚するなんて間違ってます、そんなのお祖父様も喜びませんよ」
彼に言われるままにここまで来てしまったが、ようやく私はここで自分から話ができた。言い終えると緊張で心臓が痛くなってくる。それなのに、彼の返事は実にあっさりしたものだった。