次期社長と甘キュン!?お試し結婚
とりあえず、荷物を整理しよう。そう思ってキャリーケースのジッパーに手をかけたときだった。鞄に入れていた携帯が音を立てたので、私は急いで中から取り出す。
「直人?」
『大丈夫か?』
電話の向こうの直人の声は当たり前だが覇気がなかった。仕事に対してか、この事態に対してかは分からない。
「今、栗林さんにホテルに連れてきてもらったところで」
『そうか。突然悪かったな。必要なものがあれば遠慮なく言えばいい。しばらくは不便をかける』
淡々とした物言いに、色々言いたかった言葉を飲み込む。でも、これだけは言わずにはいられなかった。
「直人、朋子と会ってたんだね」
『仕事でだ』
栗林さんからも聞いていたことだが、私はつい食い下がった。
「うん、でも一言くらい言ってくれてもよかったのに」
『……言わなくて悪かった。とりあえず今日はも時間がないから、切るぞ』
早口で言われ、さすがに私はそれ以上なにも言えず。おとなしく電話を切ろうとした。すると、直人がなにかを思い出したように呼び止めた。
『そこ、映画見放題になってるだろ。観すぎて睡眠不足にならないようにな』
からかっているのか、真面目なのか。こんなときなのに。そう思いながら私は分かっているよ、と静かに返事をして電話を切った。
別に直人と朋子のことを疑っているわけではない。それでもずっと胸騒ぎが収まらず、私は早く直人に会いたい気持ちでいっぱいだった。
「直人?」
『大丈夫か?』
電話の向こうの直人の声は当たり前だが覇気がなかった。仕事に対してか、この事態に対してかは分からない。
「今、栗林さんにホテルに連れてきてもらったところで」
『そうか。突然悪かったな。必要なものがあれば遠慮なく言えばいい。しばらくは不便をかける』
淡々とした物言いに、色々言いたかった言葉を飲み込む。でも、これだけは言わずにはいられなかった。
「直人、朋子と会ってたんだね」
『仕事でだ』
栗林さんからも聞いていたことだが、私はつい食い下がった。
「うん、でも一言くらい言ってくれてもよかったのに」
『……言わなくて悪かった。とりあえず今日はも時間がないから、切るぞ』
早口で言われ、さすがに私はそれ以上なにも言えず。おとなしく電話を切ろうとした。すると、直人がなにかを思い出したように呼び止めた。
『そこ、映画見放題になってるだろ。観すぎて睡眠不足にならないようにな』
からかっているのか、真面目なのか。こんなときなのに。そう思いながら私は分かっているよ、と静かに返事をして電話を切った。
別に直人と朋子のことを疑っているわけではない。それでもずっと胸騒ぎが収まらず、私は早く直人に会いたい気持ちでいっぱいだった。