次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「それで、直人。ここに彼女を連れてきてくれているということは、話は上手くいったのか?」
「ええ」
すぐさま、私は振り向いて、なんの躊躇いもなく答えた宝木さんの顔を見た。顔は笑っているものの、目は笑っていない、気がする。
「そうか、それはよかった。晶子さん、直人のことをよろしくお願いします」
「いえ、あの」
社長に頭を下げられて、私は必要以上に狼狽えた。こんなにも喜んでくれるのは非常に有難いのだが、このまま話をまとめられるわけにもいかない。
「ただ、お互いに知り合って日も浅いですし、すぐに結婚とはいきません。俺も帰国したばかりで、まだ生活も落ち着いていませんから」
宝木さんがフォローをしてくれたことに、こっそりと胸を撫で下ろす。しかし、その次の瞬間、社長はとんでもないことを言い放った。
「そうか。バタバタさせていたしな。それなら直人、せっかくだから晶子さんと一緒に住んだらどうだ?」
一緒に住む? 誰と誰が? 社長の言葉が上手く飲み込めない。そして、さすがの宝木さんも目を丸くしている。そんな我々におかまいなく、社長はさも名案! という表情を浮かべていた。
「どうせ私の家も仮住まいのつもりで、近々別に住まいを借りたいって言っていたじゃないか。晶子さんも一人暮らしと聞いておるし、結婚するならそっちの方がいいだろう」
「ですが」
私がなにか言おうとした瞬間、それを止めるように、後ろから両肩に手を置かれた。背後に立っていた宝木さんのものだ。
肩に乗せられた手は力強く、骨ばっているわりに指は長い。じんわりとそこから体温が伝わってくる。
「有難いです。俺も彼女のことをもっと知りたいと思っていたので」
その発言に社長は相好を崩し、近くにいた秘書であろう男性に指示して早速、手はずを整えようとしている。
勝手に進んでいく話に私は呆然としながら、肩に乗せられた手は相変わらず温かく、そして重たかった。
「ええ」
すぐさま、私は振り向いて、なんの躊躇いもなく答えた宝木さんの顔を見た。顔は笑っているものの、目は笑っていない、気がする。
「そうか、それはよかった。晶子さん、直人のことをよろしくお願いします」
「いえ、あの」
社長に頭を下げられて、私は必要以上に狼狽えた。こんなにも喜んでくれるのは非常に有難いのだが、このまま話をまとめられるわけにもいかない。
「ただ、お互いに知り合って日も浅いですし、すぐに結婚とはいきません。俺も帰国したばかりで、まだ生活も落ち着いていませんから」
宝木さんがフォローをしてくれたことに、こっそりと胸を撫で下ろす。しかし、その次の瞬間、社長はとんでもないことを言い放った。
「そうか。バタバタさせていたしな。それなら直人、せっかくだから晶子さんと一緒に住んだらどうだ?」
一緒に住む? 誰と誰が? 社長の言葉が上手く飲み込めない。そして、さすがの宝木さんも目を丸くしている。そんな我々におかまいなく、社長はさも名案! という表情を浮かべていた。
「どうせ私の家も仮住まいのつもりで、近々別に住まいを借りたいって言っていたじゃないか。晶子さんも一人暮らしと聞いておるし、結婚するならそっちの方がいいだろう」
「ですが」
私がなにか言おうとした瞬間、それを止めるように、後ろから両肩に手を置かれた。背後に立っていた宝木さんのものだ。
肩に乗せられた手は力強く、骨ばっているわりに指は長い。じんわりとそこから体温が伝わってくる。
「有難いです。俺も彼女のことをもっと知りたいと思っていたので」
その発言に社長は相好を崩し、近くにいた秘書であろう男性に指示して早速、手はずを整えようとしている。
勝手に進んでいく話に私は呆然としながら、肩に乗せられた手は相変わらず温かく、そして重たかった。