次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「晶子!」
呼び止めるような直人の強い声と、部屋の電話が鳴ったのは、ほぼ同時だった。直人が少しだけそちらに気を取られた合間に、私は急いでドアに向かう。
そこで戻ってきた栗林さんにぶつかってしまったが、謝罪もそこそこに私は逃げ出した。消えてしまいたかった、この場から。直人の中から。
『妹の方じゃないのか』
『妹にその気がないなら君でかまわない』
なにを、勘違いしていたんだろう。直人に言われた沢山の嬉しい言葉よりも、鮮明に蘇ってくる言葉が刺さる。直人は最初から朋子の方を望んでいたのに。それなのに、直人のことを好きになりたい、なんて言って。
私を望んでくれたのは、条件を満たすためで、朋子がお見合いを断わったからなのだ。
『私が直人さんとの結婚を考えようか?』
でも、朋子がその気なら、私は必要ない。週刊誌に載っていた二人の写真を思い出す。楽しそうにしている直人と朋子。
一体、なんの話で盛り上がっているのかは分からないが、マスコミが囃したてるように二人はとてもお似合いだった。
次期社長と三日月今日子の孫である女優なんて、祖父母の事を考えても、誰もがうらやむ組み合わせだ。周りもそう思って、本人たちも望んでいるなら、なにも遠慮することはない。
直人は知っているんだろうか。朋子が彼と別れたことを、朋子が結婚について考えてもいいと思っていることを。もし、知らないのだとすれば、私は……。
呼び止めるような直人の強い声と、部屋の電話が鳴ったのは、ほぼ同時だった。直人が少しだけそちらに気を取られた合間に、私は急いでドアに向かう。
そこで戻ってきた栗林さんにぶつかってしまったが、謝罪もそこそこに私は逃げ出した。消えてしまいたかった、この場から。直人の中から。
『妹の方じゃないのか』
『妹にその気がないなら君でかまわない』
なにを、勘違いしていたんだろう。直人に言われた沢山の嬉しい言葉よりも、鮮明に蘇ってくる言葉が刺さる。直人は最初から朋子の方を望んでいたのに。それなのに、直人のことを好きになりたい、なんて言って。
私を望んでくれたのは、条件を満たすためで、朋子がお見合いを断わったからなのだ。
『私が直人さんとの結婚を考えようか?』
でも、朋子がその気なら、私は必要ない。週刊誌に載っていた二人の写真を思い出す。楽しそうにしている直人と朋子。
一体、なんの話で盛り上がっているのかは分からないが、マスコミが囃したてるように二人はとてもお似合いだった。
次期社長と三日月今日子の孫である女優なんて、祖父母の事を考えても、誰もがうらやむ組み合わせだ。周りもそう思って、本人たちも望んでいるなら、なにも遠慮することはない。
直人は知っているんだろうか。朋子が彼と別れたことを、朋子が結婚について考えてもいいと思っていることを。もし、知らないのだとすれば、私は……。