次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「あれ? 社長代理じゃないです?」
「あ、本当だ。まさか、こんなところで会えるなんて」
その言葉に心臓が跳ね上がり、顔を上げると、玄関口で直人と栗林さんがなにやら話し込んでいた。どうしようかと迷っていると、不意にこちらを向いた直人と思いっきり視線が交わる。
「ごめん。私、用事を思い出しちゃったから先に行ってて!」
早口でそう告げて私は再び会社の中へと戻った。唖然とする同僚たちを尻目に走り出す。こんなことしたって意味はないのに、今はまだ、直人と顔を合わせたくなかった。
会議室の並ぶフロアは時間も時間で静まり返っていて、とりあえず一番手前の部屋に入り、身を縮める。
肩で息をしながら、ばくばくと鳴り止まない心臓を落ち着かせようと必死だった。急に駆けたからか、直人に会ったからかは分からないが、鼓動が速い。
会議室はさっきまで使われていたからか、エアコンの冷気がまだ残っていてひんやりとしている。その空気を肺に目一杯送り込んだ。
そのとき、突然ドアがガラッと音を立てて開いたので、体がびくりと震えた。そして恐る恐るそちらに目を向ける。
「なんで……」
「なんで逃げるんだ」
私ほどではないが息を切らした直人が険しい表情でドアのところに立っている。扉を閉めるとゆっくりと近づいてきたので、私は即座に立ち上がった。
「ずっと電話にも出ないで……。心配しただろ」
「っ、ごめん」
意外なところから指摘され、私は素直に謝った。すると途端に直人はばつが悪そうな顔になる。
「あ、本当だ。まさか、こんなところで会えるなんて」
その言葉に心臓が跳ね上がり、顔を上げると、玄関口で直人と栗林さんがなにやら話し込んでいた。どうしようかと迷っていると、不意にこちらを向いた直人と思いっきり視線が交わる。
「ごめん。私、用事を思い出しちゃったから先に行ってて!」
早口でそう告げて私は再び会社の中へと戻った。唖然とする同僚たちを尻目に走り出す。こんなことしたって意味はないのに、今はまだ、直人と顔を合わせたくなかった。
会議室の並ぶフロアは時間も時間で静まり返っていて、とりあえず一番手前の部屋に入り、身を縮める。
肩で息をしながら、ばくばくと鳴り止まない心臓を落ち着かせようと必死だった。急に駆けたからか、直人に会ったからかは分からないが、鼓動が速い。
会議室はさっきまで使われていたからか、エアコンの冷気がまだ残っていてひんやりとしている。その空気を肺に目一杯送り込んだ。
そのとき、突然ドアがガラッと音を立てて開いたので、体がびくりと震えた。そして恐る恐るそちらに目を向ける。
「なんで……」
「なんで逃げるんだ」
私ほどではないが息を切らした直人が険しい表情でドアのところに立っている。扉を閉めるとゆっくりと近づいてきたので、私は即座に立ち上がった。
「ずっと電話にも出ないで……。心配しただろ」
「っ、ごめん」
意外なところから指摘され、私は素直に謝った。すると途端に直人はばつが悪そうな顔になる。