次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「心配しなくても、俺との結婚を決めてくれたら、君の望むように愛してやる。それに俺は浮気しない。一応、結婚とはそういう契約だと理解しているからな」
そう言いながら身体をこちらに乗り出してきた。私は彼が今言った台詞も、状況にもまったく頭がついていけない。そのまま頬に手が添えられ、彼と視線を合わせられる。
「俺のなにが不満なんだ? 後悔をさせるつもりはないが」
眼鏡越しに見る彼の強い眼差しに私は息を呑んだ。そこらへんの俳優さんよりも整った顔立ちに思わず見惚れていると、そのまま顔が近づいてくる。
一瞬、たった一瞬の出来事に私は目を開けたまま固まる。今、唇に感じた温もりはなんだったのか、それが理解できたのと同時に、私はパニックになりかけた。どうしてこういう展開になるのかまったく分からない。
「な、なっ」
間抜けな声をあげながら口元を手で覆う。なんで? と言いたいのに声にならなかった。ちらり、と宝木さんに視線を向けると、彼はまったく顔色を変えていない。むしろ不思議そうな顔をしている。
「君が言ったんだ、愛し合う必要があるんだろ?」
その言葉に私は弾かれたように車のドアを開けた。その行動に今度は彼が驚く番だった。
「おい」
「タクシーで帰ります。失礼します!」
本当はもっと色々言いたいことがあったのに、そのどれもが言葉にならなくて私は生温い夜の風を受けながら、逃げるようにして彼の車から離れた。
そう言いながら身体をこちらに乗り出してきた。私は彼が今言った台詞も、状況にもまったく頭がついていけない。そのまま頬に手が添えられ、彼と視線を合わせられる。
「俺のなにが不満なんだ? 後悔をさせるつもりはないが」
眼鏡越しに見る彼の強い眼差しに私は息を呑んだ。そこらへんの俳優さんよりも整った顔立ちに思わず見惚れていると、そのまま顔が近づいてくる。
一瞬、たった一瞬の出来事に私は目を開けたまま固まる。今、唇に感じた温もりはなんだったのか、それが理解できたのと同時に、私はパニックになりかけた。どうしてこういう展開になるのかまったく分からない。
「な、なっ」
間抜けな声をあげながら口元を手で覆う。なんで? と言いたいのに声にならなかった。ちらり、と宝木さんに視線を向けると、彼はまったく顔色を変えていない。むしろ不思議そうな顔をしている。
「君が言ったんだ、愛し合う必要があるんだろ?」
その言葉に私は弾かれたように車のドアを開けた。その行動に今度は彼が驚く番だった。
「おい」
「タクシーで帰ります。失礼します!」
本当はもっと色々言いたいことがあったのに、そのどれもが言葉にならなくて私は生温い夜の風を受けながら、逃げるようにして彼の車から離れた。