次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「孫たちには心から好きになれる人と結婚しなさいって言ってますから。だから、もし孫同士に叶えてもらうなら、私の孫が心から好きにならないと、好きになれるようなお孫さんじゃないと難しいかもしれません。それでもかまわないなら」ってね」
「祖母が、そんなこと……」
「それをね、思い出したんだよ。もしかしたら本当に、今日子さんのお孫さんなら、宝木だから、とかそんなことに関係なく、直人のことを見て、好きになってくれるのかもしれない。好きにならないと結婚って話にはならないだろうと。ちょうど娘さんである麻子さんに話したら、晶子さんのことを聞いてね。直感と言えばいいのか、彼女かもしれない、と思って無理を言ったんだ」
驚いた。社長もきっと朋子の方を、と思っていたのに。
『いい、晶子? もしあなたと結婚したいって男性が現れたら、あなたが心の底から好きになれる人にしなさい』
祖母の言葉を思い出す。おばあちゃんはこうなることを全部見越していたんだろうか。
「俺は、もし会社を継ぐ条件の話がなくても、じいさんが望むのなら、晶子に結婚を申し込んだと思う」
直人が静かな口調で告げた。会長はわずかながらにその目を見張る。
「じいさんがいなかったら、今の俺はいない。こうして晶子にも会えなかった。会社を継ぐのも、仕事だって嫌いじゃない。じいさんが思う以上に、恩も感じているし、感謝もしているんだ。だから、早く元気になってくれ」
両親のことを知って、きっと色々と思うところはあるだろう。それでも直人の社長に対する、祖父に対する気持ちはきっと本物だ。
社長はわざとらしく咳払いをすると我々から視線を逸らしたが、その瞳はかすかに潤んでいた。そして深々とこちらに一礼する。その姿は社長としてではなく、直人の祖父としての姿だった。
「祖母が、そんなこと……」
「それをね、思い出したんだよ。もしかしたら本当に、今日子さんのお孫さんなら、宝木だから、とかそんなことに関係なく、直人のことを見て、好きになってくれるのかもしれない。好きにならないと結婚って話にはならないだろうと。ちょうど娘さんである麻子さんに話したら、晶子さんのことを聞いてね。直感と言えばいいのか、彼女かもしれない、と思って無理を言ったんだ」
驚いた。社長もきっと朋子の方を、と思っていたのに。
『いい、晶子? もしあなたと結婚したいって男性が現れたら、あなたが心の底から好きになれる人にしなさい』
祖母の言葉を思い出す。おばあちゃんはこうなることを全部見越していたんだろうか。
「俺は、もし会社を継ぐ条件の話がなくても、じいさんが望むのなら、晶子に結婚を申し込んだと思う」
直人が静かな口調で告げた。会長はわずかながらにその目を見張る。
「じいさんがいなかったら、今の俺はいない。こうして晶子にも会えなかった。会社を継ぐのも、仕事だって嫌いじゃない。じいさんが思う以上に、恩も感じているし、感謝もしているんだ。だから、早く元気になってくれ」
両親のことを知って、きっと色々と思うところはあるだろう。それでも直人の社長に対する、祖父に対する気持ちはきっと本物だ。
社長はわざとらしく咳払いをすると我々から視線を逸らしたが、その瞳はかすかに潤んでいた。そして深々とこちらに一礼する。その姿は社長としてではなく、直人の祖父としての姿だった。