次期社長と甘キュン!?お試し結婚
彼女が俺のことをどう思っているのかは分からない。俺自身も明確に、彼女のことをどう思っているのかと聞かれたら、はっきりとは答えられない。
それでも彼女がそばにいるのは、今までにない心地よさもがあって、このまま結婚してくれたらいいのに、となんとも他力本願な思いを抱いていた。
それがいかに馬鹿な考えだったのかと思い知ったのは、彼女が酔って帰ってきたあの日。聞いていた時間よりも随分と遅く、玄関から物音が聞こえたので、俺は急いで足を運んだ。
心配したのもあって、つい不機嫌な態度をとってしまったが、驚くことに彼女は一人ではなく、男と一緒だった。
手短に従弟だと説明され、自分ではなくほかの男に頼られたことに腹が立つ。従弟だから当たり前なのかもしれないが、名前で呼び合って随分と親しそうなのも伝わってくる。そのことに苛立ちが隠せない。
この感情がなんなのか分からない。彼女が俺と本当に結婚するつもりがあるのかと疑っているわけじゃない。
『心配しなくても、ちゃんと直人との結婚は考えてるから』
そんなことを心配しているわけじゃない。反射的に言い返そうとして、何故? と疑問が浮かぶ。俺にとって一番重要なのはそこだったはずなのに。
彼女はそれを律儀に守ろうとしているだけだ。これは俺が彼女に望んだことで、他の男を頼ったのも、自分の勝手な都合を彼女に押し付けたからだ。分かっている、彼女はなにも悪くない。けれど、
それでも彼女がそばにいるのは、今までにない心地よさもがあって、このまま結婚してくれたらいいのに、となんとも他力本願な思いを抱いていた。
それがいかに馬鹿な考えだったのかと思い知ったのは、彼女が酔って帰ってきたあの日。聞いていた時間よりも随分と遅く、玄関から物音が聞こえたので、俺は急いで足を運んだ。
心配したのもあって、つい不機嫌な態度をとってしまったが、驚くことに彼女は一人ではなく、男と一緒だった。
手短に従弟だと説明され、自分ではなくほかの男に頼られたことに腹が立つ。従弟だから当たり前なのかもしれないが、名前で呼び合って随分と親しそうなのも伝わってくる。そのことに苛立ちが隠せない。
この感情がなんなのか分からない。彼女が俺と本当に結婚するつもりがあるのかと疑っているわけじゃない。
『心配しなくても、ちゃんと直人との結婚は考えてるから』
そんなことを心配しているわけじゃない。反射的に言い返そうとして、何故? と疑問が浮かぶ。俺にとって一番重要なのはそこだったはずなのに。
彼女はそれを律儀に守ろうとしているだけだ。これは俺が彼女に望んだことで、他の男を頼ったのも、自分の勝手な都合を彼女に押し付けたからだ。分かっている、彼女はなにも悪くない。けれど、