次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「直人だって、好きでもない私にキスするくせに。たかがキスなんでしょ? 同じじゃない!」
彼女の言葉に、心が乱される。傷ついた、なんていうのはおこがましくて、反論することもできないのに、その通りだ、なんて納得もできない。ただ、溢れ出た衝動を彼女にぶつけるかのごとく強引に唇を重ねた。
有無を言わせない口づけに、彼女は戸惑いを隠せないでいた。なにをここまでムキになっているのか。本気で抵抗されないことに、こっそりと安堵して、時折、彼女の口から漏れる甘い声に欲深さが増していく。
ややあって顔を離すと、彼女は困ったような、泣きそうな表情で俺を見て、すぐにその場にへたり込んだ。
さすがに泣くだろうか、怒るだろうか。今までのキスとは違う。結婚するとはいえ、好きでもない男にこんなことをされたら、きっぱりと拒絶の言葉が彼女の口から出るかもしれない。
でも、それでもよかった。罵詈雑言でもかまわない。どんな形でも、彼女の素直な感情をぶつけて欲しかった。だけど、彼女が口にしたのは、まったく予想もしていなかったことで
「わ、たし、心配しなくても、直人と」
その続きは聞かなくても分かった。そして自分の愚かさ加減を呪って自己嫌悪に襲われる。彼女はこの期に及んでも、俺との結婚話のことを気にしてくれていた。
有難い、なんて思うはずもなくて、逆に切なくなってくる。どうしてこんな気持ちになるのか。後ろめたさを感じるのなら、遅すぎる。これは全部、俺が望んだことなのに、それに精一杯に応えようとしてくれる彼女を傷つけて。
彼女の言葉に、心が乱される。傷ついた、なんていうのはおこがましくて、反論することもできないのに、その通りだ、なんて納得もできない。ただ、溢れ出た衝動を彼女にぶつけるかのごとく強引に唇を重ねた。
有無を言わせない口づけに、彼女は戸惑いを隠せないでいた。なにをここまでムキになっているのか。本気で抵抗されないことに、こっそりと安堵して、時折、彼女の口から漏れる甘い声に欲深さが増していく。
ややあって顔を離すと、彼女は困ったような、泣きそうな表情で俺を見て、すぐにその場にへたり込んだ。
さすがに泣くだろうか、怒るだろうか。今までのキスとは違う。結婚するとはいえ、好きでもない男にこんなことをされたら、きっぱりと拒絶の言葉が彼女の口から出るかもしれない。
でも、それでもよかった。罵詈雑言でもかまわない。どんな形でも、彼女の素直な感情をぶつけて欲しかった。だけど、彼女が口にしたのは、まったく予想もしていなかったことで
「わ、たし、心配しなくても、直人と」
その続きは聞かなくても分かった。そして自分の愚かさ加減を呪って自己嫌悪に襲われる。彼女はこの期に及んでも、俺との結婚話のことを気にしてくれていた。
有難い、なんて思うはずもなくて、逆に切なくなってくる。どうしてこんな気持ちになるのか。後ろめたさを感じるのなら、遅すぎる。これは全部、俺が望んだことなのに、それに精一杯に応えようとしてくれる彼女を傷つけて。