次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「あの、あなたのことを好きになりたいっていう気持ちは嘘じゃないから。私も努力する。だから、そんな無理しなくていいから。むしろ、自然体でいてくれた方が有難いというか、変に作らずに本音で接してくれた方がいいというか……」
言葉尻を濁しつつも釈明する。自分の出した条件のために、好き同士でもないのにキスを交わすのは、お互いにとっていいことはない。
それも、私が彼の態度をバッサリ切ってしまったからなんだけれど。なんだか居た堪れなくなって俯いていると言葉が降ってきた。
「なら、本音をひとつ」
その言葉に私はゆっくりと顔を上げると、じっとこちらを見ていた彼と目が合う。
「その眼鏡はやめた方がいい。じいさんの見舞いに行ったときに思ったんだが、ない方が魅力的だ」
「それは、どうも……」
さらっと告げられた言葉に私はそう答えることしかできなかった。そして荷物の整理があるから、と自室に逃げるように向かう。部屋に入ってすぐに自分の頬を押さえた。
え、今のなに? おべっか? でも、本音って……。私の頭は混乱していた。勝手に頬が熱くなる。少なくとも上辺だけの甘い言葉を囁かれるより、よっぽど私の心は揺れた。彼が真顔だったから尚更だ。
これから、彼とどのような生活が待っているのか、私の気持ちはどうなるのか、不安は尽きない。それでも、少しだけ彼の素顔を見ることができた気がして安心した。
強引で、祖父のために好きでもない女性と結婚しようなんて、変わっていると思ったけど、もしかしたら、ただ真面目なだけなのかも。思ったより不器用な人なのかもしれない。
重ねた唇の温もりを思い出して、勝手に恥ずかしくなり、私は頭を振って荷物の整理にとりかかった。
言葉尻を濁しつつも釈明する。自分の出した条件のために、好き同士でもないのにキスを交わすのは、お互いにとっていいことはない。
それも、私が彼の態度をバッサリ切ってしまったからなんだけれど。なんだか居た堪れなくなって俯いていると言葉が降ってきた。
「なら、本音をひとつ」
その言葉に私はゆっくりと顔を上げると、じっとこちらを見ていた彼と目が合う。
「その眼鏡はやめた方がいい。じいさんの見舞いに行ったときに思ったんだが、ない方が魅力的だ」
「それは、どうも……」
さらっと告げられた言葉に私はそう答えることしかできなかった。そして荷物の整理があるから、と自室に逃げるように向かう。部屋に入ってすぐに自分の頬を押さえた。
え、今のなに? おべっか? でも、本音って……。私の頭は混乱していた。勝手に頬が熱くなる。少なくとも上辺だけの甘い言葉を囁かれるより、よっぽど私の心は揺れた。彼が真顔だったから尚更だ。
これから、彼とどのような生活が待っているのか、私の気持ちはどうなるのか、不安は尽きない。それでも、少しだけ彼の素顔を見ることができた気がして安心した。
強引で、祖父のために好きでもない女性と結婚しようなんて、変わっていると思ったけど、もしかしたら、ただ真面目なだけなのかも。思ったより不器用な人なのかもしれない。
重ねた唇の温もりを思い出して、勝手に恥ずかしくなり、私は頭を振って荷物の整理にとりかかった。