これからも君が好き。


男ふたりがいなくなり
俺らの間には無言の空間が出来上がる


まあいいか、と歩きだそうとすると

「あ、あの!」


「...なに?」


我ながら冷たい態度をとったとあとから思った


それでも必死に俺を見上げてくる小里


「あ、あの、ありがとう...ございました」


「...なにが?」


「あたし、ああゆうのなれてなくって
そ、それで、どう断ればいいかわからなくって...」


はい?


いやいや慣れてないことないだろ


でも謙遜してるふうにも
嘘をついてるようにも見えない

無自覚、なのか?

てか天然?


「そ、それで!
顔、大丈夫...ですか?」


顔?

ああ
そういえば殴られたっけ


「大したことねーよ」


そう言ってまた帰ろうと思うと

「で、でもあたしのせいで!
あたしの家、この近くなんです
よ、よかったら手当させてもらえませんか?」


こいつ。。。
やっぱり周りの女と一緒かよ


自意識過剰とか
ナルシストとか思われるかもしれないけど
こうやって変にこじつけて近づいてくる女は山ほどいた

まあ、俺が助けたってのは初めてだけど


「お願いします...
てあてさせてくれませんか...?」


はぁ...と
ため息をつき、小里の方に目をやると

小刻みに震えながら
涙目で俺を見つめていた


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