LOVE物語3
「遥香ちゃん、これからもよろしくね。」



尊のお父さんに、そう言われ優しく抱きしめられた。



やっぱり、親子だな。



この温もりが、たまらなく安心できる。



「親父。何どさくさに紛れて遥香に抱きしめてるんだよ。」



「いいだろ。俺も嬉しいんだ。お前にこんなに可愛い彼女ができて。それに、娘ができたみたいで。遥香ちゃん、尊のことよろしくな。こう見えて、結構子供なところあるから。そんな所も遠い目でみてやって。」



「ふふ。分かってます。」



「親父?何か余計なこと言った?」




「何でもないよ。」



尊のことは、私にこっそりと教えてくれたから尊には聞こえてなかったみたいだった。



「遥香ー!」



「千尋?と、大翔!」



「お前、ケロッとして。本当、心配したんだからな。」



「大翔…泣いてた?」


微かに、涙の跡が光に反射して見えた。




「泣いてねーよ。ばか。」



「遥香、あんたって子は。」



「千尋、そんなに泣かないで。」



私に抱きつきながら泣き崩れる千尋を優しく抱きしめ、頭をなでた。



「遥香ちゃん。本当によかった。もう、無理したらダメだよ。」



山城先生も、私の事を心配してくれていたんだ。




「遥香ちゃん。遥香ちゃんの頑張ってる姿はほかの患者さんに伝わっていたみたいだよ。」




「え?」



私は、近藤さんの言葉に驚いた。



「遥香ちゃん。」




部屋には、5人の見知らぬ患者さん達が入ってきた。



私は、状況を読み込めず、しばらく固まっていた。



だけど、山城先生の言葉を聞いてから私は笑みがこぼれた。



それは…




私が、頑張っている姿をみて、リハビリを一緒にやっていた人が励まされたということ。



私は、まだ未成年だったから、余計に励みになったらしい。



18歳で、喘息と心臓病を患いながらも、手術をするために体力をつけていたことを聞いて、自分も背中を押されたみたいだった。




私は、その言葉を聞いて素直に嬉しかった。



「私…ちゃんと生きてるんだね。」



嬉しくて、ただただ生きていることが奇跡に思えた。



生きていることって当たり前じゃない。




今、何もなく生活できている事は、身体も心も健康だから。


この人たちや、皆に出会えたことも奇跡なんだ。



当たり前のようで当たり前じゃない。



今更だけど、大切なことに気づけた。




皆に支えられて、今の私がある。



私も、皆のために、支えていける存在でありたい。



生きている限り、色んな人から支えられているから。
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