LOVE物語3
ーside尊ー


「朝陽、さっきは遥香のことを心配してくれてありがとう。でも、遥香は今日実習生として来たんだ。患者じゃない。だから、見守ってほしい。」




「でも。尊、よく許したな。」




「遥香が、今までこの実習に向けて頑張って来たから、止めることができなかったんだ。でも呼吸器内科の担当が俺と朝陽なら、何の心配もいらないって思って。」





「そっか。それならこっちも、遥香ちゃんが倒れても大丈夫なように、準備をしておくよ。」





「あぁ。ありがとう。」




「これから、病棟の説明だろ?皆を待たせたらいけないから、先にそっち向かいな。」




「朝陽、ありがとうな。」





俺は、朝陽に頭を下げてから、遥香達のいる学生カンファレンス室へと向かった。





扉を開けると、すぐに目に入ったのは遥香の様子だった。




明らかに、朝よりも体調が悪くなっていることが分かる。





「今日は、まず病棟オリエンテーションからしたいと思いますが、説明よりも案内をしていきたいと思います。それぞれ準備をしていて下さい。」




俺は、そう伝えてから車椅子の準備をした。





やっぱり、ずっと座りっぱなしで1時間話を聞くことは遥香にとって1番苦痛だよな。




顔面蒼白になってきているから、そろそろ危うい。




低酸素血症を起こしていることは、確認しなくても分かった。



それくらい、遥香の体調は悪化してしまった。





酸素ボンベ付きの車椅子を、すぐに用意してから、





「遥香、酸素マスク付けるよ。他のみんなは、廊下で待っていてくれるか?」




俺は、遥香の鼻に酸素が通るようにチューブを入れた。





「どうして?私、まだ大丈夫。」





「そんな顔が真っ白で、何が大丈夫だよ。呼吸しづらいだろ?我慢するなって言っただろ?遥香…俺朝に言ったよな?誰1人かけてほしくないって。俺達なりに、遥香が皆と平等に実習が送れるように考えたから。だから、遥香。我慢とか気を使ったりするなよ。」





「…ありがとう、尊。」




「お礼なんていいよ。」



俺は、遥香にそう伝え車椅子で移乗しながら、病棟の案内を行った。
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