LOVE物語3
『親に捨てられて良かったと思ってる?』か…






親に、大切に育てられていたら、私はこの病院に通うこともなかったのかな?




そしたら、尊に出会うこともなかったし、今の私がなかったのかな。





親に捨てられていたから私は人の温かさも愛情も知らずに育った。





だからこそ、尊もこんなに私に深入りしてくれたんだよね。






あの時、尊が一緒に暮らそうって言ってくれたのは、私に両親がいなくて私を助けたいと思ってくれたから。





また別の私だったら、尊もあんなこと言ってなかったよね。




辛い過去があったから、今の私がいる。






尊に助けられながら今の幸せがある。






だけど、私が両親の愛情を受けて普通に育ってきたら、また別の幸せがそこにあるんだろうな…。





自分の幸せって、誰かに与えてもらうものじゃなくて、自分で見つけるものなのかもしれない。



幸せの価値観なんて、人それぞれ違うと思う。





人それぞれ、幸せの形は違うんだろうな…。







帆乃華さんの家庭は、色々と複雑って尊も言ってたよね。





帆乃華さんにとっての幸せを、どう見つけるかは分からないけど、親に捨てられてよかったなんて思ったことは1度もない。





「そんなこと、思ったことない。」






帆乃華さんの問に、答えを出した。








「またまた。だって、親に捨てられちゃったから今の自分があるんでしょ?



幸せなら、捨てられて良かったじゃない。」







帆乃華さんは、前の帆乃華さんと違っていた。







帆乃華さんは、本当に変わってしまった。









私は、それ以上何も言えなかった。







すると、帆乃華さんは隠していたタバコを手に取り、病室から離れた。






「あ!帆乃華さん!」





私は、帆乃華さんの手首を掴んだけど思いっきり振り払われた。






タバコを吸ったら、確実にCOPDが悪化しちゃうよ!






せっかく、落ち着いてきてもうすぐ退院できるのに。







私は、帆乃華さんに同じことを繰り返して欲しくない。





その思いが、私を動かしていた。
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