LOVE物語3
帆乃華さんは、屋上に向かっていた。




それから、帆乃華さんは煙草に火をつけてしまった。



私は、力づくても帆乃華さんの煙草を奪わないといけないと思い、帆乃華さんのくわえた煙草を取った。





「何すんのよ!」







初めて聞いた、帆乃華さんの声。








失語症だった帆乃華さんは、驚くどころか「しまった」という顔をしていた。





どうしてだろう。







いや、今はそんなことよりも。







「帆乃華さん、話を聞かせてください。


私が、実習に来ることを知って、どうしても担当してほしいと頼んだのは、少しでも私に話を聞いてほしいと思ったからですよね?



今の苦しみから、解放してほしいって思ったからですよね?




だから、教えてほしいです。




帆乃華さんの苦しみから、私は救いたい。」







「あなたに、今が幸せなあなたに私の何が分かるのよ!」







「帆乃華さんの気持ちは、帆乃華さんにしか分からないのかもしれません。


けど、それでも私は帆乃華さんにできることをしたい。」






感情的になっているせいか、私は呼吸が出来なくなっていた。






自分でも聞こえるくらい、喘鳴が出ていた。







私は、喘息で1番やってはいけないことをしていた。






それは、帆乃華さんが煙草を吸ってしまわないように必死で、煙草の火を消し忘れていた。







その煙がずっと、私の所にきていた。








感情的になりすぎて、私はそのことに気付かなかった。







「ちょっと!はるちゃん!」







張り詰められていた糸が切れたみたいに、ひどい咳が私を襲った。






「はるちゃん!?しっかりしてよ!」






「大丈夫…だい…じょうぶ…」







何とか、咳を止めないといけないと思って、急いで私は吸入をした。







1回分の吸入じゃ、収まりきれなかった。







「帆乃華さん…すみません…病室、戻りましょう。」







帆乃華さんは、私から逃げるように病室へと戻った。








帆乃華さんに付き添うことができなくて、壁を触りながら、帆乃華さんが病室に戻ったことを確認してから私は尊を探した。







歩くのもやっとだった。






「あれ、はるちゃん!?」






「朝陽先生…尊は…?」







「処置室運ぶよ!」





私の様子を見た朝陽先生は慌てていた。



それから私は、朝陽先生に抱えられ処置室へと運ばれた。
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