LOVE物語3
「はっきりしたことは、わからないんだけど、前に1度彼女にこう質問されたんだ。


医者は、心のケアもしてくれるんですか?って



当時は、もちろんって笑顔で言ったんだけど仕事が忙しくて、中々真白さんの話を聞くことができなかったんだ。



それで、そのまま真白さんは退院をした。



身体は、治っても心の治療までは出来なかった。」






「真白さんは、元は朝陽先生の患者さんだったんですか?」







「そうだよ。」






「私、真白さんを助けたい。


私が、尊に助けてもらったみたいに、真白さんを救うって決めた。」






「なぁ、遥香?


くれぐれも、無理だけはしないでほしい。


助けたい気持ちは分かる。


けどな?


遥香の身体にも、負担をかけることになる。


今日みたいに、煙草を吸うかもしれない。



だから、これからは真白さんが煙草を吸いに屋上に向かったら、必ず俺か朝陽に言って。」








「でも、朝陽先生や尊を探している間に、真白さんが手遅れになったらどうするの?」







「電話で言ってくれれば、すぐにでも行く。」






「…分かりました。」






「遥香、今日はもう帰ろうか。」







「うん。」






「尊、悪いけどそれは出来ない。」






処置室に入ってきたのは、親父だった。





「尊、分かってるだろうけど遥香ちゃんには今回大きな負担がかかってしまった。



本当に、ごめんね。



一時は、危ない状態だったんだから、今日は病院でゆっくりして、回復してから明日もう1度実習に参加しよう。


遥香ちゃん、じっくり考えることもじっくり休むこともどっちも大切なんだよ。」








「お父さん…。」







「それなら、俺も付いてるから。」







俺は、遥香にそう言ってからゆっくり寝かせた。






「じゃあ、遥香ちゃん、お大事にね。


あまり、自分を苦しめないでね。」






「はい。」




朝陽は、遥香の頭を撫でてから仮眠室を後にした。



「今日は、私もここにいていいかな?」






突然の、親父の言葉だった。







「いいんですか?」







「あぁ。遥香ちゃんの傍にいたいから。」





親父の言葉に、遥香から笑みがこぼれた。
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