コミュ障なんです!
「……客先に? でも私、これから会議の予定があるのよ」
ふいに耳に入ってきたのは、三浦さんの声。
パーティションから顔を出して覗くと、背の高い男の人と話しているのが見えた。
「マジ? なんとなくあと一押しなんだよなぁ。ちょっと専門的なところサポートしてもらえればいいだけなんだけど。相手が迷ってるときはさ、断言できる人間がいると安心するじゃん。誰かいない?」
「そうねぇ。……販売向けのシステムだっけ?」
「そう。在庫管理と履歴参照してのおすすめ商品の選出、それと受注後におすすめのコーディネイトとかを表示したりと、全体的に流れを作りたいんだよ」
「個別にそれぞれ作ったことのある人なら、……いるにはいるかな」
ふっと三浦さんがこっちを見たので、思わず座って隠れる。
今、目があった。やばい。なんかよく分かんないけど、やばい予感がする!
「隠れないで。和賀さん」
「は、はいっ」
「話聞こえてた?」
「いえ。全然」
聞こえてないから放っておいてください。
私に関わらないでー!
……って思ったけどだめだった。
「そう、じゃあ、こっちに来て」
クールな声音での、本日二度目の三浦さんからのお呼び出し。
あああ、もうっ、今日はこれ以上自席から離れたくなかったのに。