コミュ障なんです!
*
翌日、トレンドハウスの本社前で、私は息を吸い込む。
大丈夫。内容はほとんど詰めているし、斉藤さんとはメールでならそこそこ話している。
直に会ってもいける。いけると信じるのよ、香澄。
一歩踏み出そうとした瞬間に鳴った突然の着信音に驚いて、心臓が口から飛び出すかと思った。
脅かさないでよ、とスマホを見ると着信ではなくショートメッセージだった。
【落ち着いて臨めば大丈夫】
永屋さんからのメッセージだ。
こういう細かい気配りは、いったいどうやったら身につくのか、尊敬する。
スマホを心臓にあてて、深呼吸する。
こういう優しい気づかいは、素直に受け取ろう。
「……頑張ろう」
さっきまでひとりでの不安が大きかったけれど、急にひとりじゃないかも、なんて思えたもの。
受付で呼び出してもらうと、ニコニコ笑顔の斉藤さんがやってきた。
「やあ、和賀さん。どうぞこちらへ」
後ろに斉藤さんより若い男性もいる。でもなんか堂々としていて風格があるなぁ。
うちの渡辺部長が三十六歳のはずだから、同じくらいかも。
名刺交換をすると、【梶 雅也】と書かれていた。
「梶です。以前は海外バイヤーをしていて、本社に戻ってきたばかりなんですよ」
「海外ですか。すごい……。私、和賀といいます。今後ともよろしくお願いいたします」
とりあえず社交辞令。
さすが海外帰りというか、なんとなく身振りが大きい。
表情もはっきりしていて、何を考えてるかわかりやすそうだから苦手なタイプではない。
翌日、トレンドハウスの本社前で、私は息を吸い込む。
大丈夫。内容はほとんど詰めているし、斉藤さんとはメールでならそこそこ話している。
直に会ってもいける。いけると信じるのよ、香澄。
一歩踏み出そうとした瞬間に鳴った突然の着信音に驚いて、心臓が口から飛び出すかと思った。
脅かさないでよ、とスマホを見ると着信ではなくショートメッセージだった。
【落ち着いて臨めば大丈夫】
永屋さんからのメッセージだ。
こういう細かい気配りは、いったいどうやったら身につくのか、尊敬する。
スマホを心臓にあてて、深呼吸する。
こういう優しい気づかいは、素直に受け取ろう。
「……頑張ろう」
さっきまでひとりでの不安が大きかったけれど、急にひとりじゃないかも、なんて思えたもの。
受付で呼び出してもらうと、ニコニコ笑顔の斉藤さんがやってきた。
「やあ、和賀さん。どうぞこちらへ」
後ろに斉藤さんより若い男性もいる。でもなんか堂々としていて風格があるなぁ。
うちの渡辺部長が三十六歳のはずだから、同じくらいかも。
名刺交換をすると、【梶 雅也】と書かれていた。
「梶です。以前は海外バイヤーをしていて、本社に戻ってきたばかりなんですよ」
「海外ですか。すごい……。私、和賀といいます。今後ともよろしくお願いいたします」
とりあえず社交辞令。
さすが海外帰りというか、なんとなく身振りが大きい。
表情もはっきりしていて、何を考えてるかわかりやすそうだから苦手なタイプではない。