コミュ障なんです!

「以前のシステムも部品化するってことだから、梶くんがいたほうが話が早いかと思ってね。おじさんは正直あの時もよくわからなかったしなぁ。ははは」

「何言ってるんですか。狸おやじだなぁ。ところで営業は永屋くん? 彼とも久しぶりに会いたいなぁ」

「担当だからね、月一で覗きにくるよ、彼」


食えない態度をとる斉藤さんに比べて、梶さんは本当に朗らかだ。
そのころから永屋さんが営業なんだな。じゃあ梶さんはお知り合いというわけだ。

そしてふと、梶さんは内緒話でもするように小声になって言った。


「今三浦さんは……?」

「あ、三浦は私の上司で。……今回はスケジュールが合わず私が担当することになって」


そうだよね。
前のシステムの時も三浦さんだったんだし、彼女が担当するって思ってたんだろうな。
なのにこんな小娘が来たから、頼りなく思われたのかもしれない。
あら、考えていたらなんだか落ち込んできた。


「なんだかすみません……っ」

「え? いやいや、そういう意味じゃないよ。三浦さんの秘蔵っ子ってことでしょう。期待してます」

「いえいえいえ、そんな滅相もない」


困って取り繕ってくれたけど、なんだか申し訳ない。
だって、笑った後で梶さんは横を向いて、寂しそうに遠くを見たんだもん。


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