コミュ障なんです!
胸をそらして恰好つけられたけど、その前に言っていることに目が点になる。
……ライバルだったのか?
少なくとも永屋さんからそんな対抗心は聞いたことなかったけどな。
「俺は今学校のシステムで回ってるんだけどね。これ取れると大きいよー。一気に永屋を抜かせるかも」
「そうですか」
もしかして、この間三浦さんに怒られていたやつかな。
大きい仕事だとしわ寄せもひどいからなぁ。頼むから無理難題は言わないで下さいよ。
「和賀さんはどっちの味方?」
「味方とは?」
「俺と永屋、どっちの成績が良ければうれしい?」
どっちでもいいよ。大体、味方とかそういう問題でもないと思うんだよね。
同じ会社なんだし、営業同士は競うのかもしれないけど、システムの方はいい仕事とってきてもらえばそれでいいわけだしね。
「永屋さんに勝ったらうれしいんですか?」
「そりゃそうっしょ。俺の目標は営業成績一番になることだからね」
田中さんは、調子いいし無茶ぶりもしてくるけど。
なりたい自分がちゃんと分かっているんだよね。
その辺はすごく、羨ましいなぁ。
「私は、まずは目先の仕事が成功できればそれでいいですけどね。お客様に満足してもらえる商品を作るのが本分ですもん」
「そりゃ和賀さんはシステムだもんな。俺たちは仕事とってくるのが仕事だからね。先へ先へと考えなきゃ」
「でも人員だって限られているんですし、こちらの予定とか考えながらやってもらわないと困りますよ」
残業付けになったら、やっぱり効率が落ちるからね。
仕事が入るのはそりゃありがたいけど、回しきれなくなったら本末転倒だ。どれもこれも中途半端になって信用なくしちゃう。