コミュ障なんです!

「スペルチェックなら後でするし。わざわざ難癖つけに来たのかしら」

「まあ、できる人から見れば気になるんじゃない? あたしらみたいなのが作るプログラムは」


……そうじゃないんだけどな。
ただ、ミスは拾える時に拾っておきたいし、どのタイミングでチェック入れたらいいのかもわからないし。
別に二人に難癖をつけたいわけじゃないんだけど。

苦しいなぁ。
リーダー業ってこんなに大変なものだったんだ。
ため息をつくのも気が引けて、自分のスペースで身をひそめる。

負けたくない。頑張りたい。
三浦さんみたいに、堂々と永屋さんの隣にたてるくらいの人になりたいよ。

ジワリとにじむ涙を誰にも見られなくなくて、ぎゅっと目をつぶって前のめりになった。


しばらくして、大きな声をたてて入ってきたのは田中さんだ。


「おい、三浦。どうなってんだよ」

「え? なに?」

「お前が送った書類、ミスがいっぱいあったぞ。俺、客先で嫌味言われちゃっよ」

「え? ……あ、ごめん」

「どうしたんだよ、最近」


田中さんが三浦さんに怒られているならわかるんだけど、その逆は初めて見た。
びっくりしすぎて自分の涙が引っ込んでいってしまった。

そういえば、最近三浦さん元気なさそうなんだよな。
たまにぼうっとしているときがあるし、いつもだったら私と神谷さんたちの空気の悪さにも感づいてくれそうなもんだけど、何も言わない。
まあ、いつまでも仲裁を待っているようじゃダメなんだけど。

……この間の、永屋さんへの相談って何だったんだろう。
それが原因だったりするのかな。



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