コミュ障なんです!
「誤解なら解いたほうがいいよー。可哀想だもん、永屋さん」
「でも、どうやって……」
「誘えばいいじゃない。会えませんかって」
「そんなこと……」
できない。
だっても声をかけても、用件が終わればすっといなくなってしまうんだもん。
今までどうやって一緒にいたのかが、もう分からない。
でも思い返せば、永屋さんはいつも歩み寄ってきてくれてたんだ。
私がどれだけ逃げようとしても捕まえて、一緒にいると楽しい空間を作ってくれてた。
今度は私が、そうしないといけないの……?
「香澄ちゃんから行かないと、誤解解けないと思うよ。大丈夫だよ。両想いなんだし」
「え?」
そりゃ前に好きって言われたこともあったけど、あれってもう無効じゃないの?
「あれ、違うの? だってお互い気にしてるよね。山海さんの話では、永屋さんは和賀さんの話ばっかりするって。あ、そういえば言ってなかったけど。私ね、山海さんと付き合うことになったの」
「ええっ」
そんなびっくり発言をこんな時にしないで下さいよ。
「ど、どうして。同居は嫌とか言ってたじゃない」
いや、それ以前に山海さんに対して恋愛感情があったようにも見えなかった。
「んー、でも同居すれば確かに家事もお願いできるし、頼れるし。ほら、相手によるじゃない。優しいお母さんだったらむしろ助かる?みたいな」
「そ、そうかな」
そうかもしれないけど、そんなにうまくいく嫁姑関係って、割合にしたらすごく少ないんじゃない?