コミュ障なんです!

「和賀さんは田中が好きなの?」

「……は?」


またなんかおかしなことを言いだしたよ?

何言ってんだこの人。
あきれた表情を隠さずにガン見したら、永屋さんは変な顔をした。


「違うの? だってこの間、俺の誘いは断って田中のほうに行くし。田中は田中で、和賀さんが俺の事うざいって言ってたっていうし」

「は?」


だれがいつそんなことを言ったよ。また田中さんは適当なことを。


「あいつと一緒に昼食ったんでしょ、ふたりで。俺とは食ってくれないくせに」


唇を尖らせて、苛ただし気に腕を組む。

あれこの人。もしかして……拗ねてるの?

顔中に熱が集まってくるみたい。
どうしてこうたまに可愛いの。下手に格好つけられるより、ずっと胸がドキドキする。


「田中さんと一緒にお昼なんて食べてませ……あ、一回だけあった」


結構前だけど、トレンドハウスから会社に戻った時。
そういえばあの時適当に相槌うってたけど、なんかまずいことに頷いちゃったのかしら。


「その時に俺の事うざいって言ったんでしょ?」

「言ってませんよ。誤解です。とりあえず、田中さんと付き合うなんてことは天地がひっくり返ってもありません」


そりゃ、あの人は専業主婦でいさせてくれるかもしれないけど、田中さん自体を好きになれなきゃどうにもならないもん。
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