コミュ障なんです!

「本当?」

「はい」

「俺が話しかけるの嫌じゃない?」


少しずつ距離を詰めてくる永屋さんが、なんだか可愛くておかしい。


「嫌じゃありません。……チョコレートありがとうございました」


ぺこりと頭を下げたら、永屋さんは困ったように頭を掻いた。


「あれ、ばれちゃった」

「美波ちゃんが教えてくれました」

「黙ってって言ったのに。彼女経由なら絶対うざいって言われないと思ったんだけどな」


そんなに気にしていたのか。田中さんは一体どんな言い方をしたんだろう。


「眼鏡返してくださいよ。見えなくてやり辛いです」

「ああ、うん」


今度はあっさり返してくれた。
代わりにと、ポケットから残っていた飴をひとつかみ取り出して彼の手に乗せる。


「チョコレートのお礼です」

「はは。ありがとう」


私は再びクリアな視界を取り戻して改めて永屋さんを見る。

柔らかそうな髪、外国の地でも混じってるんですかってくらいに薄い色素。
全体的に優しそうな顔なのに目には意思が宿ってる。

こんな格好良くてモテる人なのに、中身は意外と可愛くて、私みたいな偏屈を優しく見守ってくれる人。

胸がドキドキして、顔見てるだけでにやけちゃうくらい嬉しいのにどこか苦しい。
これが恋だ。私、こんなに永屋さんのこと好きなんだ。

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