コミュ障なんです!


「私、永屋さん、好きです」


思いがそのまま、口からこぼれだした。
もう、難しいこと考えるのはやめる。
私はただ、永屋さんの傍にいたい。気持ちを伝えたい。もうそっけなくされるのは嫌だ。
走り出した気持ちを止めることなんて無理なんだ。


目が点になって、二の句を告げない永屋さん。
その顔見てたら、私もだんだん恥ずかしくなってきちゃって、「じ、じゃあ」と、逃げるように走り出した。


「えっ、ちょっと、和賀さんまって」


私を追いかけようとした彼は、はずみで飴を落としたらしくて、拾っている間に私はちょうど来たエレベーターに滑り込む。

やばいやばい、勢いって怖い。
つるって言ってしまったけど、後からこみあげてくるこの恥ずかしさと言ったら。

永屋さん、どう思っているかな。

今更って思う? 
前に告白されてから二週間以上たっているもんな。

でも私、先に永屋さんが告白しててくれたから言えたんだろうなって思う。
でなければ怖くて、どれだけの勇気を持ったって、告白なんてできなかっただろう。


ありがとう、好きになってくれて。
私は今でもあなたとうまく付き合える気はしないんだけど。

それでも一緒にいたいです。

そんな風に少しでも自分が変われたことが、嬉しくて堪らないんです。


今日はもうドキドキしすぎて無理だけど、また明日、彼に声をかけよう。
人から見たら亀の歩みかもしれないけれど、自分なり変わっていきたい。

いつか、彼の隣にいることが当たり前になれる日まで。
< 141 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop