コミュ障なんです!

永屋さんはおもむろに立ち上がり電話をし始めた。


「ああ、うん、俺、永屋だけど。ちょっと、出てこれない? そう【U TA GE】、三浦もいるから」


そして電話を切ると、梶さんをせっついた。


「でましょう、梶さん。少なくとも今は、何言っても三浦の心は動きませんよ。……三浦、お前はちゃんと自分の気持ちと向き合ってみろよ。今から田中が来るから」


三浦さんは少し赤らめた頬に気まずい表情をのせて彼を睨む。


「……お節介」

「俺的には田中より梶さんを推したいところだけど」


私も私も。
思わず頷いてしまったら、三浦さんは困った顔して笑った。


「……私もそう思うわ。でも仕方ないじゃない? 心なんて案外自分のいうこときかないもんよ」

「三浦さん」


そういえば、美波ちゃんも言ってたな。
好きになったら仕方ないんだって。


「……仕方ないですよ」


みんなの目が私を向く。人前で話すのは怖いはずなんだけど、今は自然に言葉が出てきた。


「だって好きなんですから」


三浦さんは目に涙をにじませて、そしてクスリと笑った。
もともときれいな顔をしているけれど、この時の三浦さんはとても女っぽくて艶があって、女の私から見てもドキドキしてしまうようで。


「……そうよね」

「さ、俺たちは出よう」


永屋さんは梶さんと私を引っ張って店を出ようとする。そのタイミングで、田中さんが入ってきた。
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