コミュ障なんです!
そこから、私たち三人はにぎやかなチェーン店に向かった。
私は関係ないし、居ても梶さんが話しにくいだろうから帰ろうと思ったんだけど、永屋さんに服を引っ張られ、「一緒にいて」とお願いされたらなんだか断れなくなって、なし崩しに一緒に入ることになった。
仕方なく黙って聞いていたら、あまりにも赤裸々にふたりの過去を語られてしまう。
いいのかな。後輩なんかに聞かれたい話じゃないよなーって思ったら、三浦さんに申し訳ないような気がしてきた。
梶さんと三浦さんは、トレンドハウスの仕事で出会って、彼はそのとき初リーダーだという彼女が、緊張しながらもてきぱきと仕事をこなしていくのを見て、好きになったのだそう。
システム化の仕事が四ヵ月間。それから、アプローチし続けて付き合い始めたのが一か月後。
同棲までいった付き合いだったそうだ。
「イタリアの事業部に行くのが決まって、プロポーズしたんだ」
そのころ三浦さんは二十六歳。仕事的にも絶好調だった時期だと永屋さんはいう。
「行けないって言われた。でもお互い別れようとは言えなかった。……好きだったんだよね。これで終わりになんてしたくなかった。それで始まった遠距離恋愛だ。こまめに帰ってきたつもりだったんだけど」
「何か月に一度ですか?」
「半年に一度」
距離から考えれば、まめと言っても良かったはずだ。
でも今なら私にもわかる。
毎日顔を見ていた人が、たった数週間顔を見せてくれないだけで、どれほど寂しくなるものなのか。
しかもすぐにまた離れることが分かっているならば、会うほどに切なさは増すばかりだろう。