コミュ障なんです!

「和賀さんが嫌なら変なことはしないから、帰るのはなしにしようよ」

「え、でも」

「一緒にいたい。しばらくお預けしてたから、これで帰すのもったいないっていうか。もっと話したいっていうか。ちゃんと告白の仕切り直しもしたいし」

「仕切り直しって」


いったい何をするの。もう一度言えとか言われても無理だから。恥ずかしくて死ねる。


「とにかく逃げないでよ」


だって、自分の気持ち言うだけで精いっぱいだったんだもん。
さらに相手の反応まで受け止める余裕ないっての。

すねたような顔で見られるとなんだか胸が痛い。
こらえきれなくなって、うつむいたまま本心を吐き出した。


「だって、わ、私、コミュ障なんですよ。告白なんて初めてされたし、初めてしたし、なんで好かれたのかもわからないし、絶対そのうちフラれるって思うし。だから」

「だからって逃げなくても」

「だってひとりにならなきゃ落ち着けないじゃないですか! 私、今まで男の人と付き合ったことなんかないんですから」

「マジ? 俺が初めて?」


その言い方やめて。

……てか。そうか。世間一般的には私みたいなの、重たいのか?
二十七歳、処女。どころか男の人と付き合ったことさえない。

うわあ、ますます逃げ出したくなってきた。


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