コミュ障なんです!

「不安があるのはもっともだと思うんです。既存システムもうちで作ったものですから、こちらを評価していただいているのは、弊社としてもとてもありがたいことですし。ですが御社のためを思ったら、時代の変化にスムーズに細かに対応できるようにしていったほうが、お客様からの評価が高まると思います。特に今はスピード時代ですから、ずっと同じであれば飽きられます。小さな変化でいいんですよ。ですがそれをこまめに出すことで、御社が常に情報に対して配慮しているということがアピールできると思うんです」

御社のためにっていう常套句でだめ押ししようとする永屋さん。
しかし、斎藤さんの方もなかなか首を縦には振らない。


「そうだなぁ。私なんかはコロコロ変わられるとついていけなくて面倒に思ってしまうんだが、やっぱり若い子はそういうものかねぇ」


突然私のほうに話を向けられ、固まってしまう。

と、足を軽くけられた。
頷けってか。
なんか永屋さん、さっきから乱暴なんですけど。


「そ、そうですね。私もどちらかというと頻繁な変化にはついていけないんですが」


本心を言ったら隣から殺気を感じた。
ギャー怖い。顔が笑ってるだけに怖すぎる!


「で、でも。まったく変化がないと心配にはなります。ネット世代にとっては、実際にどれだけ順調に経営していても、ホームページに動きがない企業となれば不安が付きまといますね。定期的にはメンテナンスされているな、とわかるくらいの割合が一番いいんではないでしょうか」

「ふうん」


担当の方は、私と永屋さんをちらりと見比べる。
なんかもう一声って感じの間が空いた。

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