コミュ障なんです!
「な、永屋さん。離して」
「あーかわいい」
寝ぼけるのもいい加減にして。
私がかわいいとかありえないから。そっちこそ眼鏡必要ですかって感じ。
「からかわないで下さいよ」
「からかってないよ? かわいいと思ってるから好きになったんじゃん。最初こそやる気あるのかって思ってたけど、君は言えば響くし、理不尽なことにはしっかり反論するし、自分の意思があるくせに、甘えられると断れないとか、かわいい」
「なっ」
私って客観的に見たらそうなの?
自分では、言いたいことの半分も言えないし、言うまでにも時間かかるし、頭でっかちの堅物としか思っていないんですけど。
胸の奥は、嬉しさで沸いてる。そんな風に思ってくれてた、ちゃんと認めてもらえてたって思えたら、布団をかぶされてるからだけじゃなく顔が熱くなってくる。
こんなに密着してたら、ドキドキしてるの伝わっちゃうよ。離してくださいよー!
耳元にかかる息は、規則正しく寝息に近い。
永屋さんは寝ぼけたままなのか、やわらかい、とろんとした声で言った。
「俺、結婚するなら和賀さんがいいなぁ」
はいー?
いきなり何を言うの。話がすっ飛びすぎてるよ。
「だめですよ、私、結婚するなら専業主婦になりたいんですもん」
そして私の答えもトンチンカン。
ああもうー、何言ってるんだろう。
寝ぼけたまま聞き流してくれないかな。
でも予想外に、永屋さんからは普通の声が返ってきた。