コミュ障なんです!

「……っ」

「あれ、泣いてるの?」

「泣いてなんか……ないです」

「そうかな」


少し体を起こして、永屋さんが私の顔を覗き込んでくる。暗闇でもわかる、優しい瞳。頭を撫でてくれる手。
近づいてくる顔……って待った!


「ちょっと」

「うわ」


彼のおでこを押し返す。今さらっと何しようとしたよ。弱ってるとき狙うとか卑怯!


「ひでー」

「こ、心の準備ができてないって言ってるじゃないですかっ」

「ほら、自分の考えあるじゃん」


永屋さんは笑って、私を腕に抱きなおし、私はぐうの音も出なくて黙り込む。


「まあ俺はどっちでもいいよ。和賀さんが俺のものになってくれるなら」


そういえば、寝ぼけている割にははきはき答えるなぁって思っていたけど、もしかしてすっかり目が覚めていらっしゃる?


「や、あの。べ、ベッドに戻ります」

「あったかいから離したくないなぁ」

「いやでも一緒の布団とかありえないし」

「わかってるわかってる。とりあえず今日はしない。段階が大事なんでしょ」

「はいっ、そ、そうです」

「わかってるけど、ここにいて」


永屋さんは、甘えるのが上手すぎる。
頭を撫でたりおなかを撫でたりして私を宥めながらも、腕の力は少しも緩めてくれない。
ドキドキしすぎて寝れるもんかって思ったけれど、心音を聞いているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。


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