コミュ障なんです!

自分のアパートに帰って、着替えて準備を整えて再び会社へと向かう。
朝食を作る時間などあるはずがなく、おなかの虫はひたすらになっている。
仕方なく、飴をなめてお腹をなだめておく。


「おはよ。間に合ったな」


コンビニから出てきたのは永屋さんと山海さん。


「あ、おはようございます」

「これあげる」


カロリーメートだ。これもチョコ味なことにちょっと笑ってしまう。
この人、どんだけチョコレートが好きなんだろう。


「仲直りしたのか? よかったな」


永屋さんに向かって語り掛けるのは山海さん。
そのまま三人で並んで会社に行く……つもりだったのに。

永屋さんの手が私の腰に添えられる。


「ああ。おかげさまで。ところでお前はなんか書類作るって言ってなかったか?」

「え? あ、……ああ。そうだったそうだった。先行くわ」


なんとなく追い立てられるように行ってしまう山海さん。

え? 行かないで下さいよ。
朝からふたりきりにさせられるとかハードル高い。

永屋さんはといえば、にっこり笑って私の腰を押す。いや、その手も離して。普通、会社の同僚はそんなエスコートのようなことしません。


「なんか、むず痒いからやめてもらえませんか?」

「え?」

「この手!」

「ああ。ダメ?」

「ダメです」

「ちぇー」


ようやく渋々といった風に離してくれたけれど。
困ったな。永屋さんの行動は心臓に悪い。

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