コミュ障なんです!


「わかりました。長いスパンでのシステム変更のスケジュールをまとめてみます。具体的にどんなことがしたいか、というのも御社でもまだまとまっていませんよね」


間をとったプランを提案するのは永屋さん。
どうやら今日中に契約を取るのはあきらめたらしい。


「そうだね。どんなことができるのかもよくわからないからなぁ」

「可能性としてできることをまとめて持ってきます」

「そうかね?」


斎藤さんはようやく安心したように前のめりになった。


「ええ。次、お時間いつ取っていただけますか?」


そしてポンポンと次の日程をまとめていく。

す、すごいな。
営業さんって心折れないのかな。

私だったら、最初の一回目に渋い反応されたらもうそれだけで胃が痛くなりそうなのに。

説明をするためにA4用紙に手書きしたものをファイルに入れようとしたら、担当者のおじさんがそれに気づいた。


「それ、もらえないかな。社内の若い者にも聞いてみたいんだけど」

「あ、でもこんな手書きのじゃ……。後ほど清書したものをお送りします」

「そう? それじゃあ私の名刺に書いてあるアドレスにお願いできるかな」

「はい」


ああ、余計な仕事も増えちゃったな。
まあ資料作りは嫌いじゃないからいいんだけど。

それから、なんとなく世間話が始まり、客先を出たのは二十分後。
その間、私は相槌しか打っていないけど、永屋さんはさりげなく今のシステムでの不満とかを聞き出していた。

すごいな営業の会話力。


いやもうなんか無理。今日は色々ありすぎて疲れたよ。
時間的にも直帰してもいいころだし、帰っちゃおうかな。

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