コミュ障なんです!
しかし永屋さんからは、無情な一言が投げかけられる。
「和賀さん。悪いけど、その資料今日中に出せるかな。俺が作る分の資料も今日中にまとめたいんだ。で、ところどころ聞きたいこともあるし。残業できる?」
「え、えっと」
「俺、明日は朝から外回りだし。用事がないなら頼むよ」
用事は……ない。
さっきポシャったばっかりだもの。
心が弱っていたのかもしれない。
確かに今帰ったとしても、やっているであろう合コンについてあれこれ考えてしまうだろう。
化粧室での痛々しい一件を思い出せば、平静になど過ごせない。だったら、仕事しているほうがマシかな……なんて思ってしまった。
「わかりました」
「よし、じゃあ戻ろうか。あ、その前にコンビニ寄っていい?」
と言うが早いか、永屋さんは私の返事を聞く前に通り道のコンビニに吸い込まれていった。
これはついて行って一緒に入るべきなのかな。
でもなんかタイミング逃したな。
人といてしんどいなぁって思うのはこんな時。
ひとりなら悩まなくていいことが、ふたりになった途端に盛りだくさんなんだもの。
会社に戻るんじゃなければ、ここで逃げちゃうところだけど、同じところに戻るのにひとりで先に行くのは違うよなぁ……。
「あ、いたいた。店内探しちゃったよ」
数分で出てきた永屋さんは、どうやら私が中で自分とは別の商品棚を見ていると思っていたらしい。
ホッとしたように息を吐き、にっこり笑う。