コミュ障なんです!


「はい。急に付き合わせたお詫び。甘いもん平気?」


袋の中には、缶コーヒーとチョコレートが入っていた。


「平気です」

「そ、よかった。聞こうと思ったらいなくて焦ったよ」


ははは、と笑いながら、永屋さんは自分の缶コーヒーを開ける。

え? ここで飲むの?
確かにゴミ箱も前にはあるけど。

戸惑いつつ、隣に立ってプルタブを開ける。
砂糖とクリームが入ったコーヒーが、緊張していた喉を潤していく。
おいしいけど、甘いなぁ。


「甘……」


思わずつぶやいたら、彼のブラックコーヒーを目の前に差し出されてまた固まる。


「あ、甘すぎた? 交換する?」


いやいやいや、あなたの口を付けたものなんて飲めませんし。


「いえっ、いいですよ。これはこれで、おいしいですし」

「普段は何入れて飲むの? コーヒー」

「普段はブラックです。でも甘いものが苦手なわけではないです。チョコは大好きですし」


今日は疲れているから甘くて正解のような気もするし。


「……話、分かりやすいよ、和賀さん。愛想があればもっといいけど、君の場合はその愛想のなさが信用を産むような気もする」

「え?」

「今日の担当の斉藤さん。結構癖のある人なんだけどね。君、気に入られたと思う」

「はあ? なんでそんなこと永屋さんがわかるんですか?」

「眉とか? 顔の変化」


さらりと言った永屋さんは、私の眼鏡をちょいとつつく。
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