コミュ障なんです!

「お待たせしました」

「こっちで話しましょ」


連れられて本日三回目の会議スペースに行く。
今日は忙しい日だ。何回ここに座ればいいの。


「社内会議は無事終了よ。出してもらったのこのままで客先にもう一度確認。すぐに設計ってことになると思う。そっちは?」

「えっと。まだ受注は決まってなくて。その、これから資料を……ひぃっ」


急に後ろから肩に手をのせられて、思わず飛び出す悲鳴。

振り向くとそこにいたのは永屋さんだ。
早い報告だな、もう終わったのか。


「もう一度細かな提案書を出すってとこ。でもたぶん、イケると思うよ。三浦、和賀さん空くならこっちの仕事に回してくれない?」


そして会話の主導権を奪って話し始める。
ナチュラルに私の隣の席に座ってくるのはやめていただきたい。


「メイン担当としてってこと?」

「そう。お前忙しいんだろ? 彼女、結構頭回るし、斉藤さんの反応も悪くなかった」

「そうね。私としてもそろそろ独り立ちしてくれたらとは思っているけど……」


ちらりと見られ、居心地が悪くなる。
指摘される前に言ってしまったほうがいいか。


「私には無理です」

「ほらね、これだから」


呆れたように肩をすくめる三浦さん。しかし、永屋さんは全然意に介してはいないようだ。

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