コミュ障なんです!
「怖い人じゃないんだよ」
「え?」
「いや、和賀さん、すごく構えていたから。見た目は固いおじさんに見えるかもしれないけど、斉藤さんはすごく話が分かるし、懐も深い人。お客さんだけど、最初はがむしゃらにぶつかっていった俺に、ちょっとずつ助言をくれて育ててくれたんだ。もちろん怒ることもあるけど、それってちゃんと愛情こもってのことだから」
「……はあ」
「じゃあこれをメールで送ってくれるかな。名刺、もらったよね。そこにアドレス書いてあるから。俺と三浦をccに入れて。それとね、和賀さん」
「え?」
――と、額をツンとつつかれる。
驚いて顔を上げたら、口角は上がっていたけれど、目は笑っていない永屋さんがそこにいた。
「ビジネスだからね。返事は『はい』で。いい?」
「はあ……じゃなくて、はい」
「よろしい」
背筋が冷えたわ。
実は怒っていたなんて、基本が笑顔だからわからなかったよ。
ああ。すみませんすみません。やっぱり私って人を怒らせる天才。
「ほら、メール出して」
背中を押され、自分の席に戻る。
怒ってるわりには面倒見がいいというか、システム開発部の会議スペースで仕事しているのは、もしかしたら私をみはっているからなのか?
ちらりと見たら目が合って笑いかけられ、私は慌てて目をそらす。
さんざん人を怒らせている私だけど。
……見捨てられないのは実は初めてかもしれない。