コミュ障なんです!
あっけにとられている私に向かって、岩田さんは思い切ったように言った。
「あのねっ、私。実は和賀さんのこと、つんつんしてて話しにくいなって思ってたんだよ」
「は、はあ」
当たっていますよ。同期とはいえほとんど話したことがないはずですよね。
話しかけられても、会話に困るからすぐ切り上げてたし、休憩時間は文庫本読んでたし。
話しかけやすいって言われたら逆にびっくりだよ。
「ごめんね。ずっと誤解してた。前にさ、仕事で助けてくれた時もちゃんとお礼言いたかったんだけど言えなくて。和賀さんって実はすごく優しいんだよね。今日だって、私が困ってたから『参加しようか』って言ってくれたんでしょう?」
……いや?
たまたま婚活しなきゃって気になっていたからだけど。
「今日のトイレだって、私が責められてるみたいに思ったから、自分から出てきてくれたんだよね。凄い、勇気ある人だって思ったんだよ。私だったら、きっと個室から出てこれない。一人で泣いちゃうよ。なのに和賀さん、自分が悪者になってくれて」
それも違うかな。
なんか、まずいって思っちゃったら黙ってられなかったんだよね。
後から何気なく断る会話スキルもないし。
だったらその場でごめんなさいしちゃった方が楽でしょう。