コミュ障なんです!


「岩田さん。ウーロン茶頼んでよ」


後ろから私と岩田さんの間に割って入ってきたのは、永屋さんだ。


「ここ、まだ食べ物あるじゃん。俺腹減ってんだよね。入れてくれる?」

「あ、はい。どうぞ」


岩田さんが座布団一つ分よけ、「あ、なんか追加しようか」と山海さんがメニューを見せる。


「食う。和賀さんも腹減ってるでしょ。どれがいい?」


私の隣に腰を下ろしながら、先にこっちにメニューを渡してくれる。
そして、山海さんにビールをつぐと、先ほどまでの席を指さし目くばせした。


「あっちの女の子占領してると、田中たちに睨まれるからさ。俺たち後から来たし、しばらく食う方に専念するよ。お前らも適当に話してて」


そういって、山海さんをシッシッと追い払う仕草をした。
間に入られてしまった岩田さんは、私に話しかけにくくなったらしくて、目の前の山海さんと話し始める。


「和賀さんはビールのままでいいの?」

「あ、私もお茶でお願いします」

「うん」


永屋さんは店員を呼び止め、ウーロン茶ふたつと、ボリュームのありそうな唐揚げやサラダを頼んでくれた。

とりあえず、この人の登場で今までの困りごとがすべて片付いたのは助かった。
ちょっと感謝を込めて見上げると、なんとなく顔が赤い。

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