コミュ障なんです!
「……なに?」
じっと見ていたら問いかけられた。
「いやなんでも……酔ってます?」
「すきっ腹で飲まされたからなぁ。だから飲み会の途中参加って嫌なんだよね」
「でも自分から行くって言ったんじゃないですか」
「それはほら」
彼はちょっと体をずらして、私にしかわからないように指で山海さんをさす。
あからさまにさっきよりテンションが上がって、岩田さんに話しかけている。
「……見てわかるでしょ。山海は彼女狙い。営業対システム開発部の合コンまで持ち掛けるまでも結構苦労してたんだよ。それでもり下がってる原因が俺って言われたらいかないわけにもいかないだろう」
「なんで永屋さん?」
「俺も行くってことにしていたらしい」
……ああ。今一番人気のエリート営業だもんなぁ。
女の子を誘う餌としては最適だったってわけか。
なのに実際は来なかったから盛り下がったってわけ?
それ、山海さんの自業自得じゃん。
「モテるんですね」
「どうかな。本当にモテる男には相手いるでしょ。俺は都合よく騒ぐのにちょうどいいくらいの立ち位置なんじゃない?」
彼女いないのか。
それは意外な。
「和賀さんこそ、男いそう」
「そんな風に見えますか」
それはなんて節穴な目なんでしょう。
「一途に思ってそうだよね。君みたいなタイプに惚れる男は絶対本気だから、離さないほうがいいよ」
「はあ。離すも何も彼氏などいませんけどね」
「あれ、そうなの」
「居そう、って思われたことのほうが驚きです」