コミュ障なんです!

そこで、店員さんがウーロン茶が持ってくる。
あー良かった。やっと本格的に喉を潤せるよ。

普段人と話さないのに、今日だけで何倍話したことか。もう疲れちゃったよ。

食べ物もやってきて、私と永屋さんが無言でほおばっていると、向かいに今度は別の男性がやってきた。


「永屋ー。何お茶とか飲んでんだよー」

「げ、田中」


営業部の田中さんだ。彼も永屋さんの同期なのかな。

そして気付けば、山海さんと岩田さんが先ほどより心なしか遠くにいる。
席を譲ってあげたというよりは避難したんだな、と気づいたのは、田中さんの絡み酒のひどさを目の当たりにしてからだ。


「みんな永屋永屋ってさ。いいよな、お前は。俺なんてさぁ」


目が座っている。顔も赤いし息も酒臭いし、どんだけ飲んだんだろう。
合コンで女の子狙っているのなら、正気失うようじゃダメじゃない?とか思うんだけど。


「はいはい」


何を言われても、永屋さんは静かに聞き流している。
反応のなさに焦れたのか、田中さんは私を標的にし始めた。


「そっちの子! 飲んでる? 飲み会でお茶とか澄ましてるの良くないよ」


ああ、面倒くさいな。
澄ましてるわけじゃないもん。ビールが好きじゃないだけだもん。


「お前も絡むのよくねぇよ?」


かばうように会話を引き取ってくれた永屋さん。
おお、助かりますよ。正直、よく知らない営業さんと話すのとか苦痛なんで。
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