コミュ障なんです!

「ちょっと待って。俺も帰るから」

「ひとりで帰れます。お気遣いなく」

「俺がひとりで帰れない」

「はぁ?」


と次の瞬間、彼は後ろから抱き着いてくる。

ちょっとー!!

いや、固まるよね。普通、ビビるよね。
私、おかしくないよね?


「あははははは」


しかも私の肩に顔をうずめて大爆笑。
何なんだよ、一体。


「ちょ、ちょっと離してくださいよ。何なんですか」

「いや、ウケる。最高。和賀さん、面白いわ」


私は全然面白くないわ。頼むから離してよ。


「田中のあの顔! すっきりしたー、俺」

「そりゃよかったですね。でも離れてください」


息が酒臭いしさぁ。
今日初めて話した人の距離じゃないのよ。やめてください。


「ああ悪い悪い……でも、ちょっと肩は貸してよ。俺実はあんま、酒強くないんだよね。気持ち悪くて」

「はぁ? だったら飲まないでくださいよ」

「一応君をかばってたつもりだったんだけど」


ああ、確かに私の代わりにお酒受けてくれたことは何回かあったけども。
でも頼んでないよ? 恩着せないでよね。

眉をひそめて睨むと、彼は肩に頭をのせたまま、赤い顔で笑みを浮かべる。

< 38 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop