コミュ障なんです!
「ちょっと待って。俺も帰るから」
「ひとりで帰れます。お気遣いなく」
「俺がひとりで帰れない」
「はぁ?」
と次の瞬間、彼は後ろから抱き着いてくる。
ちょっとー!!
いや、固まるよね。普通、ビビるよね。
私、おかしくないよね?
「あははははは」
しかも私の肩に顔をうずめて大爆笑。
何なんだよ、一体。
「ちょ、ちょっと離してくださいよ。何なんですか」
「いや、ウケる。最高。和賀さん、面白いわ」
私は全然面白くないわ。頼むから離してよ。
「田中のあの顔! すっきりしたー、俺」
「そりゃよかったですね。でも離れてください」
息が酒臭いしさぁ。
今日初めて話した人の距離じゃないのよ。やめてください。
「ああ悪い悪い……でも、ちょっと肩は貸してよ。俺実はあんま、酒強くないんだよね。気持ち悪くて」
「はぁ? だったら飲まないでくださいよ」
「一応君をかばってたつもりだったんだけど」
ああ、確かに私の代わりにお酒受けてくれたことは何回かあったけども。
でも頼んでないよ? 恩着せないでよね。
眉をひそめて睨むと、彼は肩に頭をのせたまま、赤い顔で笑みを浮かべる。