コミュ障なんです!


 永屋さんがコンビニに行っている間に、私は着替えを済ませ眼鏡を装着する。
なんとなく眼鏡をすると落ち着く。すっぴんの顔も、眼鏡越しに見られるならそんなに気にならないしね。

永屋さんはコンビニ袋をふたつ抱えて帰ってきた。
ひとつは着替えのようだけど、もう一袋には卵や豆腐、それからチョコレートが入っていた。
この人、よくチョコレートくれる気がするんだけど、好きなのかな。


「色々、お礼」

「あ。卵は助かります」


これで目玉焼きも作れる。
ありがたくいただくことにして、永屋さんにタオルを渡しユニットバスに追い出してから朝食を作った。

専業主婦を夢見る私としては、朝ご飯は欠かせない。
料理くらいうまくなきゃ、ただ家には置いてもらえないだろうしさぁ。

昨日買い物をしていないので大したものはなかったけれど、週末に大量に炊いて冷凍しておいたご飯をレンジで温め、常備野菜のジャガイモをベーコンと軽く炒めて、買ってきてもらった豆腐とわかめのお味噌汁。そして目玉焼きというメニューだ。

シャワーを終えた永屋さんは、上半身はTシャツのみ、下はスラックスも履いた状態で出てきて、テーブルの上を見て歓声を上げる。


「すごっ、旨そう。なんか実家の朝飯みたい」

「……どうぞ。さっさと食べてください」


そして早く出て行ってくださいな。

最後にお水を置いて、自分も座る。永屋さんは子犬のように体を揺らしながらクッションに腰を下ろした。
そして食べ始める私たち。
< 45 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop