コミュ障なんです!
呆れたように岩田さんが言う。
ああ、それは言い得ているのかもしれない。
「楽そうでいいですね」
「だよね。だから営業なんてやれてるのかもね。メンタル強そう」
確かに、でもそれは羨ましいなぁ。
私なんて、人と話すのが嫌だから引きこもってるようなもんだし。
「メンタル……強いのはでも凄いですよね」
「香澄ちゃんも強くない?」
「へ?」
「私、香澄ちゃんも凄いって思うよ」
ものすごく好意的な笑みを向けられて、なんとなく罪悪感に捕らわれる。
私、岩田さんにそんな風に言ってもらえるほど強くも凄くもない。
傷つきたくないし、面倒にも巻き込まれたくない。だから、ずっと家にこもっていたいっていう願望の持ち主なのに。
「あ、あの席空いてる。ほら、香澄ちゃん、こっち」
「あ、うん。ありがとう、いわ……」
「美波だってば」
「……美波、ちゃん」
名前ひとつ呼ぶのにさえ、勇気が必要な臆病野郎なんです。
なんて言っても、美波ちゃんは信じてくれなさそうだけど。