コミュ障なんです!

そう思ったら、思わず私は扉を開けていた。
私の姿を見て、岩田さんを含めた三人の女子社員が固まる。

私ってホントにコミュ障。
こんな時に、黙って隠れていることさえもできなくて、ホントすみません。


「やっぱり、行きません。ごめんなさい」


ぺこりと頭を下げると、髪の毛が顔の周りにまとわりつく。
髪下している姿を見せたくないから隠れたっていうのに、結びなおすの忘れてた。


「あ、あの、和賀さん」


すまなさそうに声をかけてくれたのは、岩田さんだ。


「私なんかが『行きたい』なんて言ってすみませんでした」


それは本心だったんだけど、聞いた残りの二人の顔がむっとなる。

また怒らせた?
だってそういうことだよね。

どういったらあなたたちを怒らせずに済んだんだろう。
それもわからないよ。自分でも、嫌になるほどの会話下手だ。

急ぎ足で化粧室を出ながら、泣かないようにこぶしをぎゅっと握り締めて歩く。

鼻水をすすっちゃうくらいは勘弁して。
だって、私は確かにコミュ障で、合コンなんて恐れ多いものに挑戦しようとしてすみません、って感じだけど。



……傷つく感情くらいは普通にあるんだもん。




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