コミュ障なんです!
「ちょっ、見ないでくださいよ」
慌てて拾い上げ、胸の前で抱きしめる。絶対顔に血が上ってる。ふろ上がりだからっていうだけじゃなく顔が熱いもん。
「あ、はは。乾いた?」
笑顔で返すのか。意外と余裕あるんだな。
私はないよ。もう恥ずかしくってどうしたらいいのか分からないよ!
「乾きました。き、着替えて帰ります」
「遅いから泊まっていきなよ」
泊まれるか!
さっきまでは面倒だからそれもいいかと思っていたけど。
なんか急に落ち着かなくなってしまった。こんな息苦しい気分で、寝れる気がしないよ。
「……和賀さん、どうかした」
肩を捕まれ、顔を覗き込まれる。
近いって、ますます心臓落ち着かないからやめてよ。
「なんですか」
「だって涙目……」
「こんな恥ずかしいもの見られたら涙目にもなりますよ! 着替えるから離してください」
「あ、ごめん」
手が緩んだそのタイミングで、私はトイレに駆け込んだ。
ドライヤーで乾かした下着を着こみ、上から再び彼のジャージを着る。
さっきはなじんでいた服が、急に冷たくなったようで、なんだか苦しい。
濡れたスーツは乾かないから、これだけ借りて帰ろう。
お金もったいないけど、タクシーで帰れば危なくもないし。