コミュ障なんです!
今三浦さんフリーだって言ってたじゃん。
ふたりの関係が過去どういうものだったのかよくわからないけど、私から見ればお似合いだよ。
仕事ができて、気遣いもできて。
三浦さんは、私とは違って、永屋さんの理想通りじゃん。
「……じゃあしてもいいよ」
顔の前に影がかかった。背中は壁、顔の脇に永屋さんの手がついて、なんとなく壁ドン体勢になっている。
「永屋さん」
「和賀……」
近づいてくる顔。
私の理解が間違ってなければ、これってキスされるような体勢なんじゃ……。
いやいや、ないない。
つか、やっぱ酔っぱらってんじゃん、永屋さん。
人間違えてるよ!
「まだ酔ってるんですか!」
固く目をつぶって、彼の体を押し返す。……と、彼の顔は私の肩に着地した。
「な、永屋さん?」
「……やっぱ、まだ気持ち悪い」
「えっ。吐きそうですか?」
「それは大丈夫。でも、……ちょっとここにいてほしい」
「え?」
「……帰らないでよ」
至近距離で甘えるのやめてもらえませんかー!
心臓がバクバクしすぎて死にそうだ。
落ち着くのよ香澄。
永屋さんは、調子が悪い。そして明日、味噌汁を飲みたい。
だから私にいてほしがってるってそれだけ!